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ひとつ下にある花言葉シリーズのシレネの続きですー。




華:グレビレア(ピグミーダンサー) 花言葉:貴方を待ってます 4月~5月

 

本当はアイツのこと、好きなくせに

 

お前の瞳に映るのは

 

…俺じゃないんだろう?

 

 

グレビレア

 






眠りに落ちる寸前に聞こえた、私の恋人の言葉…。

私は少し、傷付きながらその言葉を心の中で否定する。

そして、彼が指した“アイツ”が分かる時点で昔の自分に自己嫌悪する。
確かに私はあの人に固執し過ぎていただろう。人目には異常に写るほどに。

でも、他ならぬ私自身が知っている。その固執は愛情だとか、友情なんて呼ばれるようなものではないことを。

そう、それは敢えて言うなら盲信、執着、崇拝、信仰、尊敬。そんなものだ。私は愚かにもあの人を神だとでも思っていたのだ。

…それは決して愛情なんて呼べる暖かい気持ちじゃない。

私に愛情と呼べる感情を教えてくれたのは、今隣で寝ている彼だ。暖かな陽射しのような彼がすべて教えてくれた。

今でもあの人の能力には敬服する。だけど、それはあくまで尊敬から来る畏怖の念でしかない。

だけど、私の愛しい人は分かってくれないのだ。
どんなに私が言葉を尽くして説明しても。

『愛してる』って言ってくれなんて駄々をこねて。
恥ずかしくて言えないでいれば、『やっぱりあいつの事が・・・』なんて勝手な解釈。
恥ずかしさを隠す為になるべく淡々と言えば、『愛がない』なんて拗ねて。

本当、子供みたいでどうしようもない人…。

でも、他の誰でもなく、私にだけ見せてくれるそんな姿に愛しい気持ちは募るばかり。

でも、まだ。
まだ心からの愛してるは言ってあげない。
私が貴方から告白されて、どれほど嬉しかったか、分からないでしょう。
あなたに愛してもらえる今を私がどれだけ大切に思っているか知らないでしょう?
だから、これはちょっとした意地悪。

信じてもらえないなら、いつか本当に信じてもらえるその日がくるまで、私は彼の傍で笑っていよう。

そして、この人が本当に私の気持ちを分かってくれたら、改めてちゃんと言おう。

だから今はまだ、彼の暖かな腕の中に居られる幸福に身を委ねたまま…。

「ピオニー、私が好きなのは貴方だけですよ。本当に。だから早く私の本当の気持ち、気付いてくださいね、待っていますよ………………大好きです……」

完全に眠った彼のその太陽のような金色の髪に、そっと口付けた……。

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